Daniel Harding Offcial Website / Photo : ©Priska Ketterer - Archivio Ferrara Musica
Daniel Harding Official Website
Photo : ©Harald Hoffmann - Deutsche Grammophon
これからキャリアを築こうとする駆け出しの指揮者にとって、世界的に活躍するマエストロの薫陶を受け、多くのことを伝授してもらうことは何にも代えがたい財産となるだろう。ダニエル・ハーディングにとって、良き師となったのがサー・サイモン・ラトルであり、クラウディオ・アバドであったのは幸運だった。なぜならこの2人は、19世紀以降の主流となっていた指揮者による独裁的なオーケストラ統治や、新鮮味に欠けるルーティンなプログラミング、伝統に束縛された演奏スタイルなどとは無縁であり、音楽の創造においても常に新鮮で、聴衆にアピールする新しいスタイルを模索し続けているからだ。

1975年8月31日に、イギリスのオックスフォードで生まれたハーディングは、1991年1月、サー・サイモン・ラトルと初めて会うことになり、それが実質的なオーディションとなった。ラトルのアシスタントになったハーディングは、1994年、18歳の時にバーミンガム市交響楽団を指揮して本格的にデビューを果たす。1995/96年のシーズンにはクラウディオ・アバドのアシスタントを務め、1996年にはベルリン・フィルを初めて指揮。ロンドン交響楽団、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団、ドレスデン・シュターツカペレほか、欧米の主要オーケストラに客演して広く名前が知られるようになり、1997年にはノルウェイのトロンハイム交響楽団首席指揮者に就任。初めてのポストを得る。
2003年までドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメンの音楽監督を務め、同オーケストラとは2001年の秋に来日。ヴィクトリア・ムローヴァ(ヴァイオリン)、イアン・ボストリッジ(テノール)をソリストに迎えたツアーは、各地で大好評を博した。それに先立ち、エクサンプロヴァンス音楽祭の引っ越し公演で1999年に来日し、まさに衝撃的という言葉がふさわしいモーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」を指揮している。
2003年のシーズンからは、アバドが創設したマーラー・チェンバー・オーケストラの初代音楽監督に就任。時を同じくして来日公演も行い、ベートーヴェンの交響曲などを鮮やかに演奏して、多くの音楽ファンを魅了した。なお同オーケストラとは、2006年10月に再来日が予定されている。
Photo : ©danielharding.com
Photo : ©danielharding.com
2004年12月には、マーラーの交響曲第10番(クック校訂版)という大作で、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団定期演奏会の指揮台にデビュー。2005年にはミラノ・スカラ座のオープニング公演であるモーツァルトの「イドメネオ」を指揮して、世界の楽壇トップへと君臨。2006年秋からはロンドン交響楽団の首席客演指揮者、2007年秋からはスウェーデン放送交響楽団の音楽監督という地位に就くことが決定している。ザルツブルク音楽祭、ウィーン芸術週間、ルツェルン音楽祭、エクサンプロヴァンス音楽祭など、主要な音楽祭へも定期的に参加してセンセーショナルを巻き起こしてきたハーディングは、オペラ・ハウスでの指揮も多い。「ドン・ジョヴァンニ」 「コジ・ファン・トゥッテ」 「椿姫」 「ヴォツェック」などのスコアをリフレッシュさせた指揮ぶりは、その都度大きな関心を集めている。

レパートリーはバロック音楽から現代の新作までと、実に幅広い。しかしハーディングの選曲は非常に慎重であり、その基準は作品の有名無名を問わず、ハーディング自らの審美眼を通して決定される。また古典派およびロマン派音楽の演奏時には、現代楽器のオーケストラによる古典奏法(ピリオド・アプローチ)を積極的に取り入れており、その成果は過去の来日公演時(モーツァルト、ベートーヴェン、シューマン、ブラームスなど)においても実証されている。
CD録音はキャリアに比して少なく、レパートリーも偏っている(これはデビュー時のラトルも同様だった)。日本ではベートーヴェンの「序曲集」(1999年発売)、ブラームスの「交響曲第3番・第4番」(2001年発売)が特に注目され、モーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」、マーラーの「交響曲第4番」、ルノー・カプソンをソリストに迎えた「フランス・ヴァイオリン名曲集」やメンデルスゾーン&シューマンの「ヴァイオリン協奏曲」、ブリテンやルトスワフスキの歌曲集などがリリースされてきた(すべて東芝EMI / ヴァージン・クラシックス)。2005年にはスコットランド出身の若手ヴァイオリニスト、ニコラ・ベネデッティのサポートでドイツ・グラモフォンに録音デビューしている。

プライベートでは妻と2人の子供を愛する良き家庭人。また熱狂的なサッカー・ファンとしても知られているが、特にマンチェスター・ユナイテッドを愛する心は熱く、一ファンという立場を超えて株主にまでなっているほどだ。
なお、そうしたさまざまな情報も含め、最新の動向がオフィシャル・ウェブサイト (http://www.danielharding.com/) から発信されている。

音楽ライター  山尾 敦史
http://yamaonosuke.blogzine.jp/honke/
Photo : ©Simon Fowler - Virgin Classics 2004
Page Top
Copyright © 2004-2008  Daniel Harding  All rights reserved.